早速セッティングに取り掛かる。SPスタンドはフォーカスオーディオ model68に使っていたTAOCのSST-60を流用する。すでにこの時点で新生ブリロンは分が悪い。欧州では既にチューニング済の専用のスタンドが販売されているが、まだ日本には輸入されていない。かたや旧ブリロンはデッドニング等の調整を施した純製スタンド。
もっともTAOCもフローリング床に15mmのコーリアンボードを敷き更に30mm厚の御影石を乗せ、その上にセッティングしているのでぐらつきは皆無、非常にリジッドに固めているので、音楽性は別にして床への振動も少ない。
セッティング風景
TAOCのセット状況 周りのコード類のごちゃごちゃはご愛嬌 そのうちきれいに片付ける。スタンドとSPの間にはとりあえず高純度アルミナ整振材を前2つ後ろ1つの3点支持で噛ます。
| CDP | Wadia850 |
| D/Dコンバーター | P-1A |
| D/Aコンバーター | ZIA Newfusion64 |
| PreAMP | GOLDMUND √SR |
| PowerAMP | GOLDMUND MIMESIS√SR STREO |
| GOLDMUND MIMESIS√SR MONO | |
| 他アクセサリー | 特性SP切替器 |
| SPコード | 潤フロンテフロン銀コート銅単線1.0mm2本ツイスト編み |
| SP中心間の距離 | 旧ブリロン 2.4m 新ブリロン1.8m 試聴位置 2.0m |
いよいよ試聴開始 一番楽しい瞬間
八木一夫 SIDEbySID 2から聴き始める 聴き慣れた旧ブリロン(以降1.0)は今日もご機嫌に鳴っている。
2曲目「If I had you」の原田 政長のベースが実にリアルにブルンブルン鳴っている。弦を指で弾く様が目の前に再現され思わず息をのむ。ピアノとドラムス、ギターの調和の取れた音が部屋中に響き渡る。いつ聴いても素晴らしい!
ここで新ブリロン(以下2.0)に切り替える。最初の一瞬 「あれ〜?低域がやけに甘いなア」
私はオーディオ評論家でもメーカー・代理店の営業でもないから、正直な感想を素直に言える。これが2.0の最初の印象だった。暫く聴き込む。ピアノの高音部は確かに伸びきっている。倍音がきれいだ。次々にソフトを換えながら1.0と2.0を聴き比べる。バッハのガンバソナタ、ピッコロチェロの高域は2.0の方がゾクっとするほど綺麗で音が伸びている。音場感は甲乙付けがたいところだが、一歩1.0が勝っている。以下表にまとめてみた。
| 試聴部分 | 旧ブリロン1.0 | 新ブリロン2.0 |
| SIDEbySIDE2のベース | 低域のレスポンスが非常に良い コツコツ、ゴリゴリ響く 弦の震えがリアル |
全体的に滑ら 反応が幾分遅れるような感じ パッシブラジエーターのせいか低域が甘く聴こえる |
| Swimming about in Jazzのピアノ | キーンと突き抜けるような高音とピアニシモの消え入る余韻が美しい 音場感・空気感・ホール感は純正スタンドと点音源に近いコンパクトさで、明らかに1.0の方が勝っている |
解像度が高く音の描写力は1.0といい勝負 高域は特性が40KHzまで伸びているという先入観があるためか、伸びきっているという印象 音の広がりはセッティングの性もあってか1.0には負けている |
| カエターノの声他 | 言う事なし 目を瞑るとそこにカエターノがいる |
バックのリズムの分離が素晴らしい ボーカルは実に艶かしく聴こえる 音の表現力は2.0の方が上かもしれない。カエターノの口が一回り小さくなった感じだ |
| A・ペッパーのサックス | 1.0はもともとラッパ系に弱いと思っている いや長年ホーンドライバーのラッパ音が好きなのでコメントしずらい この点はやりJBLかな |
思いのほか音の抜けがよい メタルコーンに拠るためか、これは1.0より勝っている サックスもリアルに聴こえる |
| ガンバソナタのチェロ | 図太さとしなやかさを併せ持った心地よい響き | 弦楽器をチューニングに用いたのかと思わせるほど2.0は弦の響きがいい 高音部が実に綺麗だ これはいい |
ここでKさんの印象を一言。「1.0はやはりいいですね。貴方が惚れ込んだだけのことはあります。2.0は明らかにエージング不足、スタンドも純正ではないから分が悪い。直接聴き比べをする限りにおいては2.0は低域の歯切れよさで1.0に負けているかな?」なんとも複雑な心境だ。1.0の優秀さを認めてもらえたのは嬉しいが、2.0が実力を出し切れていないようで、セッティングや追い込みの甘さを指摘されたよう様な心境だ(私のせいではないが....)。
中 間 総 括 (暫くお借りできる事となったので、最終総括はいずれまた)
総括前提として2.0の評価は以下の点は差し引いて考えなければならない。
@スタンドが純正ではない 間に合わせ(とはいってもモデル68用にかなり追い込んだ
セッティングはしているが)ですましている
A2.0はエージング不足 購入後まだ2ヶ月足らずで、鳴らしこみも不十分
Bセッティングの不利 1.0はセオリー(推薦セッティング通り、SPの中心線から2.4m離
し、角度も微調整済。
かたや2.0は間隔が1.8m 内振り角度も追い込んではいない
仰角も借り物のため未調整(本当は1.0と同じ位前面を持ち上
げたかった) 背面の距離もいい加減。
................................................ ..........ともに試聴位置はSPから2.0mのかなリ二アフィールド
短い試聴時間で早急な結論は出したくはない。たっぷり時間をかければおのずと違った評価になることは明らかだが、とりあえず第一印象で感じた思いを、独断と偏見に満ち溢れて述べてみる。公平なレビューではないのでほかの人の参考には決してならない。
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総じて改造旧1.0が勝っていた。決してえこひいきするつもりはない。2.0に買い換える必要など全くないと思った(替えたくとも1.0は下取りには出せないが)。1.0は極めて完成度の高いSPだと言い切れる(特に内部配線やコンデンサーを替えると更に良くなる)。全体的な印象は、くどいようだが2.0は低域のレスポンスが1.0より劣っているように聴こえる。パッシブラジエーターのためかどうかは分からない。ラジエーター調整用のショートピンを挿入すると、低域は更に軽くなってしまう。聴くソースによっては有効かもしれないが、少なくともアコースティック系のJAZZやクラッシック音楽ではノーマルのままがいいように思う。ロックやJポップ等電気的に作られた低音が耳につくような場合はピンの差しこみは有効かもしれない。背面の壁との距離とも関係してくるとは思うが。
聴感上のS/N感はもともと1.0も優れていたので、特に2.0がずば抜けていいとは思わなかった。音の解像度や描写力は1.0譲り。年月が経過している分2.0が有利。しかし1.0も頑張っている。音の透明感が高いのはブリロン自体の特性で1.0から引き継がれている。高域の抜けのよさは2.0に一日の長がある。エンクロージャーの表面処理はDYNAUDIOの
CONTOUR-1.3のようで好みが分かれるところ。私的には1.0の方が断然好み。いかにもジャーマニーの香りがする。自室では2.0は明るすぎて視覚的に浮いてしまった。時間があれば、後ろの壁からの距離をいろいろと試してみたい。パッシブラジエーターとの相乗効果できっと締まって歯切れのいい、しかも豊かな低音が聴こえてきそうだ。
1.0はスタンド込みでトータルで音作りをしている。2.0もオリジナルスタンドを是非セットで販売してもらいたい。
1.0をはじめて聴いた時は衝撃が走った。眼前にステージが展開し、3Dではないが音に包まれながらも一音一音の細かい動きが手に取るように伝わってきた。なによりもあの小さいエンクロージャーから信じられないほど豊かな低音がレスポンスよく鳴り響いてきた時は、どこかにきっとサブウーハーがあるに違いないとまで思ってしまった。勿論これは相対的な私の評価だ。あの小さい筐体と4インチウーハー一発という点でまさにアメージンググレース?だった。この強烈な洗礼を受けてしまったおかげかもしれない、2.0にはあのときのような衝撃は走らなかった。開発コンセプトが同じなのだから、当たり前といえば当たり前。おそらくブリロンを2.0で初めて聴いた人には、驚きとなるだろう。
短時間の試聴ではあるが、いずれにしても我が改造旧ブリロン1.0が2.0との比較の上でも決して劣ってはいなかった事、いやむしろ場面場面で勝っていたこと、私以外の第三者も比較試聴で1.0の優位性を認めてくれたこと、改造1.0が「醜女の深情け」ではなかったことなどが確認できて、私的には非常に有意義で楽しい比較試聴であった。とりあえず今回はここまでにしておく。2.0は時間の経過とともにまた違った音を聴かせてくれることだろう。
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セッティングを変えて再試聴 7月10日
![]() 試聴位置からの全景 |
前回は1.0と2.0を並べて、同一システムで瞬間切り替えを行い、比較試聴でその音の傾向を確認した。2.0はあくまで仮セッティングであり、同時試聴に重点を置いたため、2.0の本来の実力は出し切れていない。そこで、今回は2.0を可能な限りいい状態で鳴らしてみようとセッティングを変えてみた。
いつもの聴位置側にSPをセットし、反対側で聴くことにする。背面の壁からは最初60cm程離し、SP間の距離は中心で2mとした。SP台は以前ダイヤトーンから売り出された木製の専用台をタオックのボードの上にセットした。このSP台は支柱の中に鉛粒と砂を充填し、がたつきをなくす為ステンレスのL金具で補強している。欧州のブリロン2.0専用スタンドは今回金属製ではなく木製の様なのであえて木製にこだわってみた。SPの高さはツィーターが丁度聴く位置の耳の高さになるよう80cmにセットした。台とSPの間は最初直置き、次に自家製ブチルゴムテフロン巻き、そして自家製真鍮スパイクで試してみた。
システムはアンプがPrimare Model301L、CDPがZIAのNEWFUSION64、SPコードはWIREWORLD
OASISV。試聴ソフトは前回と同じ。今回のセッティングはSP背面のパッシブラジエターをうまく鳴らすことに焦点を絞った。壁からの距離を前後させ、SP間の距離や横の壁からの距離もいろいろ動かしてみた。
床面のガタツキは皆無 |
ブチルゴム4重重ねてフロンシート巻き |
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自家製真鍮スパイク |
インシュレーター全景 |
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システム全景 |
プライマーとニューフュージョンのコンビ |
以上のようなセッティングで2.0を聴きなおしてみると1.0とはやはり音の傾向が違っている。名前はブリロンだが両者は全く性格の異なるSPだと思った。2.0は1.0の発展系ではなく別物のSPという印象を受けた。同じ土俵では語れない。1.0は3D(3次元)的音場スピーカーの最右翼。とにかく目の前のステージが広大に広がり、合わせて低音の質感がリアル。
わが部屋ではベストに近いセッティングをした2.0の方それでも低音の出方は1.0とはやはり違う。ふくよかではあるがなんとなくしまりが悪い。いささかブーミーというか豊か過ぎるのは、やはりセッティングのせいかあるいはエージング不足か?かといってジャンパーピンを挿すとチープな低音になってしまった。パッシブラジエターの調整は思いの他難しい。べた置き→ブチルサンド→スパイクの順に低音の締りが出てきた。地震の心配が要らなければもっと小型のスパイクに変えれば実在的でタイトな低音が出るような気がする。
2.0は音場型スピーカーの一種ではあるが、よりモニター調の傾向が強い印象を受ける。つまり弦楽器等のリアルさは1.0よりこちらの方がぞくっとするほど良く出している。写実的なリアルさでは2.0の方が1枚も2枚も上手だ。新型ツィーターのせいだろうか?ボーカルも前回のセッティングと同様目の前に小さな口が浮かび上がってくる。チェロの音など実にリアルに表現する。
SPを前後左右細かく移動させて聞いてみたが、一番良かったのは@背面の壁からの距離1mA横壁からの距離60cmBSP中心間の距離2mで音像がぴたりと決まった。試聴位置は2m、1.0のように内振り角度を極端にしない方が良かった。分度器がなかったので正確な角度は分からないが大体20度から30度くらいの間が我が家ではベストだった。仰角は0。
今回のセッティングで感じた事。くどいようだが1.0とは音の傾向が違う。フォーカスのモデル68に近いモニター的な音で、中高音はカッチリとはしているが、低音の質感はふっくらしている(もうこれは好みの問題)。なんというかスタイル、デザインがそのまま音の傾向を表している様だ。
うーん、ありきたりの表現になってしまうが、クリアーで高品位、透明度・分解能が高い上質な音とでも言おうか。低域のレスポンスははやり1.0の方がいい、というか好きだ。まだエージング不足なのであろう。
改めて思った。2.0と同じような傾向のSPはおそらく、ソナスにしてもディナウディオにしてもあるかもしれない。しかし旧ブリロン1.0は類稀なる孤高の存在という事を。
7月12日
返却日間近になって、どうしても納得がいかず、背面の壁を整理して聴き直してみた。パッシブラジエターは背面の壁の影響を受けるので、左右同じ条件にするため左側の本箱を取り除き、全く同じ条件で鳴らしてみた。機器のセッティングも追い込み、プライマーとフュージョンは丸二日通電したままとして可能な限り良い条件を整えた。
SP間240cm 背面60cm
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MUSIC TOOLS ITARY製 |
ガラスをスパイク受け |
システム全体像 |
あれこれ位置を移動させ、最終的なセッティングは@背面からの距離0.6mASP間2.20mB角度15度C高さ0.8mD試聴距離2mEインシュレーターはブチルサンドテフロン巻きとなった。背面を整理し、前後左右の空間を多めに取った結果、音像の定位はかなり良くなった。パッシブラジエターは扱いが難しい。だから面白いともいえる。前回背面距離が1mの時一番良く聞こえたが、背面を整理して聴きなおすと少し低域が寂しく聴こえたので0.6mまで下げてみた。音の厚み、ボリューム感、音の広が増し好結果となった。純正スタンドの写真を見るとかなり高くセットしているので、床面からの反射音も考慮しなくてはいけないのだろうが、あの高さでは余程高い椅子か、立って聴かないと高音が耳の上を通過してしまうように思える。とりあえず自室でのベストセッティングが完了。返却前にこれで最終試聴した。
音の硬さはエージング不足で致し方ない。低域の量感はかなり増した。ウッドベースの質感、リアリティはファーストインプレッションの時とはだいぶ違い、実在感が出てきた。アンプの駆動力が高いので音に余裕がある。前回モニター調(音像・定位の正確性)に聴こえた印象は今回も同じ。積極的な音作りはしていないようで、極めてナチュラルな鳴り方だ。
ここまでやっても、私的には低域の追い込みに課題が残った。ブリロン2.0ちょっと手ごわい。

純正スタンド
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八木一夫 SIDEbySIDE 2 |
山本英次 Swimming about in Jazz |
ArtPepper meets The Rhythm Section |
J.S.Bach Gamba Sonatas |
Caetano Velos リーヴロ |