2003/3/18
ヤマハGT-2000に純正以外のアームを無改造で載せる計画は、DV-505で実現し満足しておりました。しかし私だってアナログ愛好家の端くれ。正直言うと、もっとアームが欲しいです。ですがDV-505以外のアームが載るか否かは実際に当ててみない限り判りませんし(そして無改造だと、きっと大半が無理でしょう)、そもそも現在、アームは高価で入手も容易ではありません。
そう思っていたのに、昨年末あるショップに極上のSAEC WE-407/23完品一式がリーズナブルなお値段で飾られていたのを見たとたん、GTに載るかなどは全く考えずに購入してしまいました。良いのです、例え載らなくっても。SAECのアーム(しかも人気のWE-407/23)は一度持ってみたい逸品ですし、いよいよ駄目なら誰かにお譲りすれば。尤も数週間前、やっかみ半分で、よっしー氏と「精密すぎて取り扱いのシビアなSAECは欲しくないなあ」なんて話してた事は秘密です(笑)。
その様な偶然から突如始まった今回の計画。テーマは「GT無改造」に加え、「前回の手法の封印」です。これは、二番煎じは詰まらないというだけの故長岡先生っぽい理由で、他意はありません。尚、先に「よっしーの部屋」掲示板にて泥船たぬき・Y31両氏の間に同目的の計画がある事は知っておりましたが、あちらはGT改造が前提らしいので、差別化は出来ているでしょう(精度は逆にこちらがされている筈です(笑))。では搭載は可能か否か、故長岡先生みたいに几帳面さといい加減さを交えて早速検討に入ります。
まずテンプレートや現物で寸法取りをしてみます...当然ですが足りません。更に音質向上の為のアームスタビライザーAS-500Eを装着した状態では、穴に入れる事は出来ても、YSA-2どころではないアンダーハングになります。蓋しWE-407/23はショートアームですので、新たにGT本体に穴を開けない限り、テンプレート通りには設置できないのです。

しかし固定部のみをGTの穴に沿ってスピンドル方向いっぱいに寄せた場合、規定の長さの3mm超にまで縮める事が出来ます。ならばAS-500Eの使用を諦め、GT本体の穴にナットとワッシャーを干渉させず固定部を固定し、カートリッジを3mm前に出して使えば、何とかモノになりそうです。
勿論、とりわけ精密な事で知られたSAECを使うのに3mmの誤差なんてと云う意見はあるでしょうし、テンプレート通りでないのですから本来の性能を十全に引き出せないかも知れません。ですがGT無改造の目的の前では、自分にとって些細な事でしかありません。それにWE-407/23はオーバーハング値が一般的なアームより2~3mm短いので、3mm長くして使うと云う事は、わざわざ407/23用にカートリッジの位置を調整する必要が無いと云う事でもあり、別アームと針の共用が容易なメリットが生じます。
こうして一応見当をつけたところで試作品の発注にDIY店へ赴いたのですが当初の案は下記の加工制限でボツ。急遽本案に変更となりました。具体的には、固定部をGT本体の面より上でベースを構える事で固定部用のナットとワッシャーを穴から逃がします。これによりDINコネクタからケーブルを引き出すゆとりも生まれ、大抵のフォノケーブルにも対応出来るのです。ベース面は意外と曲者で、薄いと平面が出ず(ラミネート構造不可)、堅いと加工精度が出ず(堅すぎると加工不可)、素材の選択の幅も限られてます(砲金等不可)。DIYレベルでムリを言っても仕方がないので、加工の精度と強度のバランスがとれた真鍮を採用いたしました。
次にベースを浮かして固定する脚ですが、木材や金属、アクリル等の色々な素材が思い浮かびましたけれども、どうも一つに絞り切れません。そこで発想を変えて、自由に脚を換えて好みの音質に出来るスタイルで纏めました。基本は三点支持で、他にベース固定の為、GTのボルト二本で締め付けます。脚の高さは抑え気味にしておかないとボディーの薄い針で0バランスがとれなくなりますので、気をつけねばなりません。ここではDL-103を一つの目安にします。

出来合いの脚で行った試作品でのテストは想像以上の音で、GTの標準S字アームのお蔵入りが即確定です。ベース部は微調整で済みましたが、脚は素材毎にコロコロ音が変わり非常に楽しめる反面選ぶのが難しいです。この辺に関しては好みの問題もありますので、細かくは申し上げませんが、調子にのって堅い素材を取り替えていたら、真鍮ベースにいくつも窪みが出来てしまいましたので程々に。まあこうして正式発注に至ったのでした。
結論としては、音質は標準アームより積極的且つ精緻な方向に向かい、大幅なグレードアップになったと考えておりますが、最近拙宅では電源対策も行った為に客観的な判断が難しいので、無理を言って、よっしー・shuks両氏にお願いすることに致しました。今は、両氏の御感想を緊張しながらお待ちしているところなのです。
又、shuks氏による本計画の紹介では色々と過分なお言葉を頂戴しましたが、やっぱり無改造でGTに載る他のアームの判断は、実行長のデータだけでなく、現物を手にしてみないと判らないのが本当の所です(ちなみにSME 3009Rは不可能です)し、そもそも当方はシャレのつもりでしか作っておりません。換装を計画される方はくれぐれも熟考の上に自己責任で挑戦して下さい(更なるシャレに付き合ってアームをお譲り頂ける方の御連絡は謹んでお待ちしております(笑))。
最後に本計画の命名理由ですが、正式に完成したベースを見て頂ければ御納得されることでしょう。笑ってやって下さい。

ビバTom Fletcher
2003/5/
御蔭様でこの様にレコードを楽しみつつも、三本目に搭載するアームを入手してアームベースの思案をしている或る日、とあるショップに、マイクロのプレーヤーと以前から気になっていたアームがセットであるではありませんか。407/23で満足しているのに!三本目のベースも作っていないのに!「値段次第でマイクロを処分してアームだけ…」等と失礼な考えをしている自分を今省みると、やっぱり人間って業が深いものなのですね。南無。
おもむろに店主に尋ねてみると、なんとバラ売りしてるとの由。このアームは既にGTへの搭載を検討済みで、一応可能と分かっておりました。が、先にも触れましたように、やっぱり無改造でGTに載る他のアームの判断は、現物を手にしてみないと判らないのが本当の所です。載らない可能性も十分ありますが、見つけた時が買い時、迷ってる時間などありません。「実効長など気にせず適当につけて大丈夫」とのたまった無頓着な店主を相手に、細かい質問や値引き交渉をする程、私はツワモノではないので、状態を確認してさっさと買いました。

FRにはソリッドなベースが良い様に思っておりましたが、アームの固定方法や寸法を実物を見ながら考えるにつけ、407/23で採用したナス式のベースより他に方法が考え付きません、それならそうと三本目のアームは一時ペンディング。四本目のこのアーム、FR-64fxを、ナスのヴァリエーションとして製作する事に致しました。前回の図面は残ってますし、脚は流用すれば良いので、発注を購入翌日に済ませ、即日納品されました。…しかし、バリも取らないこの雑な仕上がりは?「3mmのステンレスでやって貰えませんか」と最初頼んだ事がお気に召さなかったのでしょうか?次は以前の様な素晴らしい仕上がり、お願いしますね…
そしてやはり現物合わせで問題が明らかになりました。よっしーさんがDV-507をGTに載せた時(03/3/30)と同じく、インサイドフォースキャンセラー部がターンテーブル外周に干渉してしまうのです。この部分はアーム本体に接続している部品なので、アーム本体の設置場所でしか解決出来ず、GTを改造しない以上どうやっても毎度御馴染みDL-103系の様なボディの薄い針ではゼロバランスが取れません。しかし接触せずに済む針も結構ありますので、厚みの無い針はシェルとの間にスペーサーを噛ませる事で逃げる事にします。でも使用感にも弊害が出ました。
実際レコードをかける時は…
1.リードインまでアームを持ってゆき
2.インサイドフォースキャンセラーを盤面方向に倒し
3.針を降ろす
途中でレコードを聞き終える時は…
1.針を持ち上げて
2.インサイドフォースキャンセラーをアーム方向に倒し
3.アームを戻す
ああ面倒です。ついうっかりキャンセラーウェイトが外周部を擦ってしまう失敗もしばしば。また本体支柱が長くて、407/23で使っていた太いケーブルでは、GTのボディのザグりには収まりません。仕方がないので曲げ易いアーム標準のコードを使います。又、画像には写っておりませんが、インサイドフォースキャンセラー部とターンテープルが接触すると、電位差の所為か稀に火花が飛ぶ事が有りますので、外部電源を使用されていらっしゃる方は特に、テフロンテープ等で先端を絶縁する必要があります。

並のコンディションでしたので、オーバーホールせずに、このアームの音質評価をするのは少々先走った行為ですが、傾向としては407/23の切れ込みの良さに比べて、中低音域のたっぷりとした鳴りの良さが印象的です。これなら曲によって使い分けが出来そうですから、今後407/23と共に活躍してくれるでしょう。しかし今回は制約が多く、使い勝手も一段落ちるのは否めません。これは失敗とは言わないまでも「辛くも引き分け」というところでしょうか。皆様にも色々アーム換装を楽しんで頂くのは当方も嬉しいのですが、今回の私みたいにならない様にくれぐれも慎重に臨んで下さい。
