L-02Aがオーバーホールから戻ってきた



オーバーホールの内容を見ると
@リレーの交換(計17個)
Aスライド可変抵抗の交換(左右バランス調整用)
Bチョークコイル交換(計4個)
Cベルト・糸(電動スライド部分)
D基盤ハンダ接続修正
E各部調整
F電源接続ピンの交換 
G電源コード新品交換
となっていた。


実は調整直前まで音は出ていたのだが、Σドライブを作動させるべくセンサーにSPコードを接続したら、SPのリレーがカチカチ頻繁に作動し始め、一定以上の音量が出なくなってしまった。発売から20年も経過し、しかも中古で手に入れた為、これを機会にオーバーホールに出すことにした。

テクニカルセンターのTさんには大変お世話になった。全般調整をお願いしたらリレーを全部新品の密閉型に交換してくれたり、在庫少ない本体接続電源コードを予備用に分けてくれたりで有難かった。その中で、Σドライブはできれば使わない方がいい旨アドバイスを受けた。SPの逆起電力をアンプ側で吸収する技術だが、余り普及しなかったし、逆に今回のように接続トラブルも起こしかねない、特に大口径のユニットを大音量で鳴らさない限りΣを使わなくても十分高音質で鳴るとのことだ。確かに通常の音量で聴いている限りΣドライブは不要かもしれない。

さてOH後の音だが、「ベールが一皮も二皮もむけた」と言いたい所だが、正直なところ直感的にはそれほどの変化を聴き取れなかった。というよりもOH以前の音に全く不満はなかったので同じ音が聴けて安心したところだ。もし音が変化していたら、以前満足していた音は何だったのかということになってしまう。厳密にはチョークコイルやらリレーを交換しているのだから音の変化はあるのだが、激変したとかの世界ではない。

ところが、電源投入後3目くらいから、じわじわと音が変わり始めた。電源コードや一部回路のリニューアル部分のエージングが進んだためか、音全体の重心が低く感じられるようになってきた。

愛聴盤「RED GARLAND'S PIANO」の一曲目
「Please send me someone to love」の中頃BASSのPaul Chambersが前面に躍り出て力強く弦を弾くシーン、今まで以上にリアルに聴こえる。音が団子状にならずクリアーさが増してきている。ゴリゴリしたBASSの音がぐっと重心を下げて力強く響いてくる。それでいてバックのA.Taylorのハイハットのシンバル音がつぶれていない。音量の比重は8対2位だが、鮮明に聴き分けられるようになった。決して高音質とはいえない輸入廉価盤のこのLPでさえ、音の分離をはっきりと聴かせてくれる。因みにカートリッジはシェルター501MkU。.もともと出来のいい内蔵フォノイコだが音の分解能が以前に比べて向上している。まさしくOHの恩恵だ。



今回の調整でコンデンサーの容量抜けも見つからず、部品も交換したことにより、大事使えば今後更に5年いや10年はいい音を奏でてくれるのではないかと期待している。

 L-02Aが販売された’82といえば私が経済的にもどん底で、とても手に入れることなどの出来ない高値の花の製品だった。その当時プリメインで55万円という破格値段にも驚いたが、自分の住む世界とは異次元のオーディオトッピックとして記憶に残っている。今ではアキュフェーズにしてもラックスにしても、まして海外製品なら55万円程度のプリメインなど珍しくもなんともないが、当時としては衝撃的だった。

 なぜ今手元にあるかといえば、これも浜田山のゴンさんからの影響だ。彼は30歳の青年だが、実に素晴らしい聴感力を持っている。聴感覚が非常に鋭い。私と違い生まれながらに能(脳)力を備えているのだろう。おまけに年齢に見合わず大のアナログファンである。30歳というと普通デジタルゼネレーションではあるが、ゴンさんのアナログにかける情熱は、単に所有するプレーヤーやカートリッジに見て取れるだけではなく、古本屋巡りで昔のアナログ記事の掲載雑誌を探してきてはチェックするというこまめな姿勢にも現れている。アナログに対する造詣の深さは
半端ではない。
不定期に会って話をするが、話が淀みなく噛み合う。50歳前後の同年輩のアナログファン以上に話をするのが楽しいのである。シェアーV15/VのMR針とHE針の音の違いを聴きわけられる。しかもその音の違いを自分の言葉で的確に表現できる。そしてその評価が私とぴったりと一致する。
ゴンさん話は別にUPするつもりだが、とにかくそのゴンさんがL-02Aのオーナーであり一生物として愛用している。部品取り用にもう1台所有している。
以前羨望の眼でL-02Aを眺め、いつかクラウン-じゃなかったL-02Aと思っていた中で、身近に愛用者がいて共感できる感性の持ち主のレビューを聞いてことごとく納得できれば、もう手に入れない訳にはいかなくなったという訳。


手に入れて大正解だった。当時のトリオの技術陣の総力を挙げて世界に発信した希代稀なるこの音は、今聴いても色褪せているどころか、どうだ真似できるものなら作ってみろ!と衰退した日本のメーカーに叱咤激励するがごとく怒涛の音を鳴り響かせている。