気まぐれ日記

ランサー L101のセッティング vol.1

                                         
ランサーの寸法は62×44×31cm(縦 横 奥行)で、小ぶりのフロアー型の形状である。底板には袴が取り付けられている。セッティングは基本的には床に直置きすることが想定される。39Kgと見た目よりも重量があり、何とか一人で持ち上げられる重さである。そこで、いろいろセッティグを変えて音の出方を愉しんでみた。

セッティングを変えてみると、当然音も変化する。もう少し正確に言うと、基本的な音色そのものはほとんど変化はない。変化するのは、低域の量感・中高域の抜け辺りで、質感までもが変化することはない。床からの距離や後面・側面の壁からの距離によって音が変化する。正に音と戯れる。教科書にあるような初歩的なオーディオの愉しみ方だが、こういう遊びが面白い。その過程でランサーから徐々に自分の好みの音が出てくる様になった。

まずは設計者の意思を尊重して、基本通り床にベタ置き。といってもそのまま置くのではオーディオ的に面白くない。実際素の床に直に置いてみたら、低域の歯切れが悪く、全体に音が籠もり気味になった。ウーファーと床との距離が接近しすぎて、低域の反射がきつく、音がブーミーになる。振動が直接床に伝わり、明らかに床が鳴いているのが分かる。

床の作りはしっかりしている方だと思うが、補強と高さ調整を兼ねて、タオックのサウンドクリエイトボード(SCB-45)を挟んでみた。

低域の締まりはいくらか増してきたが、今ひとつ歯切れが悪い。袴の底にBDRのカーボンインシュレーターを挟む。音離れはこちらの方が断然良い。
カーボン製インシュレーターも何種類かあるが、最近はこのBDRのTHE MINI PITS MK4を多用している。メーカーの受け売りだが、 鉄の5倍の張力、御影石の25倍の共振抵抗があるという。ただこの大きさでではカーボン自体が、振動を吸収するというより、振動をうまくコントロールしていると思った方が良さそうだ。低域のもたつきや膨らみを減衰、或いは分散しているのか、これを挟むことによって明らかに低域の解像度が上がる。小さな鋏物だが侮れない。

ランサーの袴の四隅には金属製(恐らくアルミだと思う)の半円状の鋲が打ってある。この凸がMINI PITSの中央の凹みにはまる。凸の方が大きくてジャストフィットこそしないが、スピーカーの重みでうまい具合に食い込み、ランサーに根が生えたかの様にがたつきが全く無くなる。
音の解像度も上がりガタも無くなるので一挙両得の優れものである。


当初、ランサーは300Bのシングルアンプで鳴らしていた。組み合わせたプリアンプがクラシック向きの柔らかい傾向の音だったこともあり、ゆったりした低域にそこそこ満足はしていた。

が......次第にその豊満さが低域過剰に聴こえだし、耳につくようになる。クラシックやボーカルを小音量でBGM的に聴くのであれば、それもよしといったところだが、それではランサーが少し可哀想である。ランサーはある程度音量を出して快活に鳴らしてあげたい。

本来古いランサーに望むのは酷とはいいながらも、もう少し蹴飛ばす様なキック・ドラムの鳴りや切れ味のいいタムのトレモロをこのランサーから出してみたい。

この時点でプリやパワーアンプを変えたこともあり、床にベタ置きの状態で暫く聴いていると、どうも低域が出過ぎて音の抜けが悪い。低域の量感が大きすぎる。いきなり右から左へ極端にシフトしてしまった感もあるが、変化を確認するにはこれくらい大胆な方が違いがよく分かる。往年の定番タオックのハイカーボン鋳鉄ベース(400DH)をセットしてみた。高さは一気に20cm上がってしまった。

ランサーの底には袴があるので、タオックのベース本来の効果は出にくいと思うが、間隔を離したり縮めたり何通りか試してみた。しかしどうセッティングしてみても結果は芳しくない。ひと言で言えば音が痩せてしまう。

音の抜けと切れが良くなった分、低域のエネルギー感が減少する。中域も細くなりボーカルもいくらか乾き気味になり潤いが少なくなってしまった。タオックベースの素材というよりも高さ量の変化の方が大きいと思う。床への反射は減少して透明感は増したが、音の躍動感は減る。得るものあれば失うものもある。なかなか難しい。ただこれは私好みの音ではない。
タオックのベースでは高過ぎた。振りが大きすぎたので、今度は高さ8cmの木片のブロックを挟んでみた。東急ハンズで売られている何の変哲もないケヤキの角材である。

紫檀や黒檀のような高密度で堅い材質ではない。材質としては柔らかい方だ。叩くとコツコツとややデッドで湿り気味の音がする。密度はそれ程高い方ではない。

低域の量感としては丁度良い塩梅の響き方だ。高さ的にはこれくらいがいい。空間部分に雑誌を入れて定在波の発生を防いでみた。音色の変化量はほとんどないが、全体に音が締まったように聴こえる。
スピーカーの台の材質で音の変化(響きの量)はあるだろうか。高さはほぼ同じで、材質の異なるウッドブロックに変えてみた。

実験したのは高さ10cmのかえで集成材。 かなり固めのウッドブロックでケヤキのブロックより重く、密度も高い。叩くとカンカンと明.るく響く。

台の交換による音色の変化は全く感じられない。しかし低域の量感、中高域の音の抜けについては若干だが変化があった。響きがが豊かで、音が明るくなる。但しこの響きの違いは聴く側のコンディションによる。その程度の差でしかない。

確かにスピーカーの台はエンクロージャーの振動を受けてそれ自体も振動して音が出る。しかし表面積そのものが小さいので、台自体の発する音のエネルギーはエンクロージャーに比べれば極めて小さい。ほとんどエンクロージャーの響きの中に埋没してしまうくらい微細なもので、ブラインドでは台の違いを聴き分けることは私には困難だ。思うにウッドブロックの材質による音への影響は余り考慮しなくていいかも知れない。むしろエンクロージャー自体がガタつかないように、しっかりと固定することに神経を使いたい。

 

天版には少し黄色がかった天然の大理石が載せてある。このマーブルトップの目的は前面の組子と同じく、一種のファニチャーとして意味合いがあったのものと推測される。リビングに置いてもオーディオ然としておらず、他の家具とも違和感なくとけ込めるという開発コンセプトだったのかも知れない。

一方でこのマーブルトップは音にもかなり影響を与えている。天板に重量物の大理石を置くことで箱鳴りを押さえる、或いは積極的に大理石を通して音を響かせる、いずれにしてもランサーはこのマーブルトップが外観や音作りの特徴の一つである。

音量を上げてマーブルトップに手をやるとかなり振動しているのが分かる。その振動は音にも現れ、響きの乗った煌びやかな音を奏でる。この音は好き嫌いが分かれるだろう。スピーカーはユニットを箱に入れた瞬間からユニット単体の音を離れ、互いに影響しあって音を作る。密閉箱、バスレフ箱、後面解放箱、バックロードホーン箱.....それぞれに出てくる音の違いがある。当然箱の材質によっても音の変化はある。







某所に遊びに行ったら、シナアピトンの積層合板が転がっていた。アンプの台として置いてあったが、明らかにご自身が今後この合板を使うことは考えにくい。「使ってみたい」と話すと二つ返事でOK、あるものとバーターで持ち帰ってきた。



シナアピトン合板はベニアやシナの合板に比べ硬くて重い。
質量が高くて本体自体の鳴きも少ない。スピーカー台としては優れていると思う。

  

高さ100mm
ウッドブロック等を間に入れないのでガタ付きはなく、安定感はいい。

椅子に座って聴くとホーンの位置が耳より10cm以上低い部分にある。床にベタで座って聴くぶんにはいいが、あぐらをかいて座るのはどうも落ち着かない。もう少しスピーカーを持ち上げてみたい。
 

ウッドブロックをもう少し大きい物に変えてみた。120mm角のパイン集成材。
シナアピトン合板の上に乗せてランサーをセットすると、椅子に座った耳の高さがちょうどホーンの高さになる。ボーカルの声が斜め上に定位し、丁度ステージに立って歌っている姿をイメージできる。









 
ボーカルの定位はいいのだが、低域の量感が少し減る。
全体的に音も痩せて聴こえる。おまけに安定感も悪そう。

得る物あれば失う物あり、なかなかいい塩梅にはいかない。
この後シナアピトン合板直置きに戻して現在に至っている。
音像イメージは下方に定位するが、ボーカル物以外では余り気にならない。
床への1次反射がかなりきつくなり、音の解像度は減るが、どっしりした低域を楽しんでいる。

                                       
 
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