-その3-
6月の終わりに茨城から金Bさんが自作音響調整(拡散)板を運んでくれた。
この冬に製作を依頼していたのだが、こちらからなかなか引き取りに行けなかった。
状況を察した金Bさんがわざわざトラックに積んで持ってきてくれたのである。
ありがたい ありがたい。
早速スピーカーの両側面の壁側にセットした。
この調整板のサイズは1840×450×50mm、重さは約20kg、
既設の拡散板の半分の厚さ・重さである。
角材からの削り出しで、板そのものの共振はおろか、
いやな鳴きがほとんど無いため、音色に響きが乗る事も無い。
2枚一組で設置し専ら側面の一次反射用に用いる。
スピーカーからの距離、2枚の板の設置角度、隙間の開け方等使い方によって音響効果が変わる。
2枚一組を左右の壁に僅かに角度をつけて設置することによりフラッターエコーが消え、
パンパン手をたたいてもいわゆる龍鳴きは起きない。
インテリア性とか見栄えは(個人の趣味性の問題なので)別として、
定在波対策としてはとても優れている。
一方で多用すると音のまとまりがつかなくなり、
更に拡散のみならず吸音効果もあるので、音に精気が無くなり、音が死んでしまう。
適量の見極めは必要である。
我が家ではスピーカーに向かって右側の壁がペナペナのベニヤ板で出来ている。
拳で叩くとボコボコと鈍い音がする。
まるで太鼓の革張り状態で、少し音量を上げて音楽を聴くと、
この壁一面が共振してブルブルと激しく震える。
これが我が家の音を濁している原因の一つだと思っている。
何とかこのベニヤ壁の補強をして、共振モードをもう少し高めにシフトしたいと考えていた。
5cm角の角材を10本ぐらい買ってきて壁に打ち付けようとも考えた。
しかしここは賃貸マンションである。退去の際に面倒である。
そこで思いついたのが金Bさんの拡散板である。
重量もあり、質量も高めで板自体の鳴きも少ない。
設置が簡単でしかも取り外しも容易。
金Bさんの拡散板の導入は、実は音の一次反射調整もさることながら、
壁の補強という意味合いも強い。
ベニヤ壁に金Bさんの拡散板を立てかけてみた。
機器の移動の前にその効果のほどを確認したが、
音の響きが綺麗になり音に艶が乗っているのが分かる。
明らかにペナペナ板の共振モードが変わり、
中高域の響きとともに低域での音のこもりが改善された。
これからが使いこなしの腕の見せ所だ。
響きがきついようであれば裏側にするという手もあ。
いずれにしても我が家では壁の補強には欠かせないアイテムになりそうだ。

問題は窓側の設置方法だ。拡散板は既述のように高さが1840mmある。
このままでは窓枠の中には収まらない。
導入当初は窓枠の前に単純に立てかけていたのであるが、結構スペースを取る。
設置のためにカーテンレールを外したので(そのままだと更に10cm以上前に出てしまう)、
カーテンもかけられない。
ラックをこちら側に移動する予定なので、なるべく窓の前のスペースは有効に使いたい。
72時間の枠しかない。
うだうだ考えてしょうもないので、思い切って拡散板の上部を60mmほど切断することにした。
といっても、炎天下の中この重たく硬い拡散板を鋸でひこひこ切っていたのでは埒があかない。
何せ75cm角の無垢の角材が6本びっしりと詰まっているのである。
しかも2枚。急遽自宅から電気丸鋸を持ってきて一気にエイヤー!で切り落とした。

拡散板を表面から見ると縦方向に薄い板を並べているように見えるが、
実はご覧の通り無垢の角材を深さを変えてひと溝ごとに削り出しているのである。実に手の込んだ作りではありませんか!

切断した部分に補強も兼ねて20mm厚の板を貼り付け、高さがちょうど1800mmなるようにした。
これでぴったりと窓枠の中に入れることができる。
板の底にフッ素系のシートを貼り、滑りがよくなるようした。
これでガラス戸感覚でわずかの力で自由に角度を変えたりスライドさせることができるようになった。

拡散板を自由に移動させ、試聴位置で一番音の響きがよくなる位置を探すことができる。
一次反射の音響効果を確認するには若干の試行錯誤が必要である。

立てかけておいただけでも、枠内にぴったりとはまっているので転倒の恐れは少ないが、万が一ということもある。
転倒防止とカーテンの取り付けのため、窓枠手前に従来のようにカーテンレールを少し低めに取り付けた。
これが支えとなり絶対に倒れることはなくなった。
おまけに厚めのカーテンを取り付ければ更に細かい音響調整が可能となる。
細かい話だがカーテン一枚でも音響調整には侮れない。
我が家では厚めの遮光カーテンを使っているが、
たった一枚のカーテンを引くことで外部の騒音はかなり消えてしまう。
部屋そのものの暗騒音のレベルが下がる。
ただし中高域の音の吸い込みは多くなり、使い方によっては音の響きが薄くなる。
手前コーナー側にカーテンを手繰り寄せれば低域の吸音効果もある。
カーテンを前面に覆うと、この拡散板は隠れてしまい、音楽を聴かないときは目隠しになる。
初来宅の方はよもやこのカーテンの裏にこんな板が隠されていようとは思いもよらないであろう。
金Bスペシャル拡散板のカスタムチューンの完成である。所要時間 正味1.5h(4のa.b 完了)

右横の壁に設置した拡散板は壁の共振防止のため壁にぴったりと押し付けたので角度の調整はできない。
しかしこちら窓側は窓枠の懐が120mmほどあるので30度位の範囲で自由に角度の調整ができる。
両壁を不平行とすることで定在波対策になる。